骨粗しょう症の治療や予防で、最も一般的に使われている薬。骨の新陳代謝をつかさどる破骨細胞の働きを妨げ、古くなった骨のカルシウム分が溶けて血液に流れ出す骨吸収を強力に抑制。その結果、骨の密度や強度を高められる。骨粗しょう症のほか、骨の一部が代謝異常で変形してしまう骨ページェット病(bone Paget's disease)、がん患者の骨病変、高カルシウム血症の治療にも用いる。有用性が高いため世界的に使用されているが、飲み薬では胃腸障害など、注射薬では発熱の副作用が見られる。また、まれに顎骨に炎症や壊死が起こることもある。宇宙航空研究開発機構(JAXA)が、2011年11月までに国際宇宙ステーション(ISS)で行った実験では、長期の無重力生活による骨密度の減少を、ビスフォスフォネートで予防できることが判明。09年に137日間滞在した若田光一、09~10年に163日間滞在した野口聡一、11年に167日間滞在した古川聡ら5人の宇宙飛行士に、週1回の服用と一定量の運動を課したところ、帰還後の骨密度減少量が平均してほぼゼロだったことが、JAXAおよび徳島大学などの研究チームによって確認された。