自然災害などで被害を受けた際、民間の賃貸住宅などを仮設住宅とみなして自治体が家賃を負担し、被災者に提供する住宅。家賃の上限は自治体によって異なるが、厚生労働省は月額6万円を参考額として示している。提供期間は最長2年。仮設住宅は災害発生時の応急的な救助を行うことを定めた災害救助法に基づく制度によって提供され、過去の災害ではプレハブなどの建設仮設住宅が中心だった。しかし、東日本大震災では被害が広範囲にわたり、資材不足や建設用地の確保などの問題から仮設住宅の建設が難航したため、みなし仮設が広く活用された。自治体の対応が間に合わずに、被災者が自ら借りた住宅を後から認定するケースも多く、建設仮設住宅約5万2000戸に対し、みなし仮設が約6万6600戸と上回った。国土交通省と厚生労働省も、これまでのプレハブ建設中心の仮設住宅の政策を転換し、みなし仮設の確保を重視していく方針を示している。みなし仮設は迅速に入居でき、住みたい地域や間取りを被災者が選択できる、建設するよりもコストが安価に抑えられるなどの長所がある。一方で、入居者が点在するために支援物資や情報などが届きにくく、被災者が孤立しがちになるなどの課題も浮かび上がっている。