感染症治療に使うワクチンに関する、日本と海外との格差のこと。国が承認したワクチンの種類や数の差、海外で承認されたワクチンが国内で承認されるまでの時間差のほか、開発力や市場規模の差も表す。承認数で見ると、2008年までの20年間にアメリカで21種類の新ワクチンが承認されたのに対し、日本での承認はわずか4種類にとどまっている。時間差では、00年にアメリカで導入された小児用肺炎球菌ワクチンが、9年後にようやく日本でも初承認された。こうした停滞の背景には、1970年ごろから表面化し始めた、副反応(副作用)による後遺症や、それに伴って各地でくり返された健康被害賠償訴訟問題がある。さらに昨今は少子高齢化の進展で、国内ワクチン産業が売り上げの大部分を依存してきた小児の予防接種が低迷、市場規模も縮小している。そのため厚生労働省は、2007年3月にワクチン産業ビジョンを打ち出し、ワクチン施策の推進に乗り出している。