割れた窓を放置しておくと、街全体が荒廃し、犯罪が増加するという犯罪理論。アメリカの刑事司法学者ジョージ・ケリング博士が1982年に提唱した。割れた窓ガラスや壁の落書き、ゴミの散乱といった小さな乱れであっても、住民がそれを見たら、「放置されたままなのだから、もっと汚してもいいだろう」となり、地域のモラルはどんどん低下。その結果、凶悪犯罪にまでエスカレートする。小さな犯罪の芽を早期に摘むことが、大きな犯罪の防止につながるという考え方。94年にニューヨーク市長となったルドルフ・ジュリアーニが、犯罪対策の柱としてこの理論を採用。軽犯罪を徹底して取り締まり、無法地帯だったニューヨークの犯罪率を激減させた。日本の自治体でもこのニューヨーク市にならい、割れ窓理論を治安回復対策に取り入れている。2006年から東京都内での刑法犯罪認知件数がワースト1の足立区では、10年1月より警視庁と連携し、「ビューティフル・ウインドウズ運動」として取り組みを本格化させるという。