気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第4次評価報告書の第2作業部会が、地球の自然や社会への温暖化の影響と、その予測に関する見解をまとめた報告書。2007年4月6日、ベルギーのブリュッセルで行われた会議で承認された。第2作業部会は、気候変動に対する社会経済システムや生態系の脆弱性と気候変動の影響及び適応策を検討・評価する部会。報告書では、観測データの90%以上で温暖化の影響が見られ、全大陸とほとんどの海洋で、はっきり温暖化の影響があるとした。気候変動により、動植物の生態系にさまざまな影響が出ているほか、永久凍土地域の地盤が不安定化、山岳で岩なだれが増加、湖沼や河川の水温が上昇、熱波による死亡、感染症のリスク増加といった変化が起こっていると指摘。また、水資源は今世紀半ばまでに多くの乾燥熱帯地域において10~30%減少し、気温の平均が1.5~2.5℃以上上昇した場合、動植物の20~30%で絶滅のリスクが高まるほか、2080年代までに、海面の上昇による、洪水被害人口が数百万人増えると予測。将来の気候変化に対応するために、より一層の適応と、そこに温室効果ガスの排出削減などの緩和策を組み合わせることで、長期的なリスクを減らすべきだと提言している。気候変動の緩和策について評価する第3作業部会の報告書の審議は、タイのバンコクで、07年4月30日から5月3日まで行われる。