主にアフリカやアジアなど、開発途上国の貧しい人々の間で蔓延(まんえん)している重篤な感染症や伝染病のうち、3大感染症と呼ばれるエイズ/HIV、結核、マラリア以外の病気。フィラリア症、デング熱、住血吸虫症、リーシュマニア症、アフリカ・トリパノソーマ症(眠り病)、シャーガス病などがある。これらの病気は、3大感染症に比べると死亡者数が少ないため、先進国において研究や医薬品開発が大きく立ち遅れてきた。しかし近年、世界全体で推定10億人以上が何らかのNTDに罹患(りかん)しており、とくに熱帯地域での蔓延が極めて深刻であることが判明。そのため世界保健機関(WHO)は、1995年より熱帯病に関する研究訓練特別計画(The Special Programme for Research and Training in Tropical Diseases/TDR)を設けて、予防、排除、撲滅に取り組んでいる。2008年7月に開催された洞爺湖サミットでは、NTDに感染した少なくとも75%の人々に支援を届けるため、活動を始めることで合意がなされた。