有機化合物(アルデヒド)の一つで、強い細胞毒性を持つ。アクリルアルデヒド(Acrylic aldehyde)、プロペナール(Propenal)とも呼ばれる。化学式はC3H4O(数字はそれぞれ下付き表記)。医薬品の合成原料などに用いられるが、生体内でもアミノ酸やポリアミンの代謝過程で少量生産される。
近年、この物質が脳梗塞マーカー(指標)として利用され始め、注目を浴びている。千葉大学発医療ベンチャーのアミンファーマ研究所(千葉市)では、脳梗塞などで細胞障害が起こると、血中のアクロレイン量が高まることに注目。アクロレインが結合したたんぱく質(PC-Acro)と2つの炎症マーカーの値から、脳梗塞のリスクを評価する検査技術を開発、2009年からサービスを提供している。「脳梗塞リスク評価サービス」と呼ばれるこの検査は、自覚症状のない“隠れ脳梗塞”(無症候性脳梗塞)の有無を3段階で評価でき、精度は約85%という。結果に応じて、精密検査を受けたり生活習慣を改善したりすることで、脳梗塞の早期発見や予防が期待できる。1回の検査にかかる費用は7000~1万円程度で、健康診断の項目に取り入れる健康保険組合なども出てきている。