薬物依存の副作用をもつ、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬や抗不安薬の服用量を段階的に減らし、依存から離脱させる手順を記した手引書。イギリスにあるニューカッスル大学神経科学研究所のヘザー・アシュトン教授が、自らの臨床経験をもとに1999年に執筆したもので、正式名は「ベンゾジアゼピン-それはどのように作用し、離脱するにはどうすればよいか」(benzodiazepines : how they work and how to withdraw)という。2001年以降、インターネットのウェブサイト(http://www.benzo.org.uk/manual/index.htm)で無料公開されていたが、12年8月に日本語版が追加された。全体は3つの章からなり、(1)薬剤が脳や体に与える影響と体内での作用、(2)長期服用後の減薬スケジュールの立て方、(3)急性および長期的な離脱症状と対処法について解説。一般の患者にも理解できる内容となっている。日本におけるベンゾジアゼピン系睡眠薬使用量の多さは、国連機関である国際麻薬統制委員会(INCB)のレポートでも取り上げられ、日本うつ病学会は長期処方での乱用や依存形成に注意するよう、呼びかけを行っている。