硫黄酸化物、窒素酸化物、オゾン、残留性有機汚染物質(POPs)、重金属類などの汚染物質が、発生源から遠く大気の流れに乗って運ばれ、国境を越えて汚染が広がること。その距離は、ときに数千キロメートルに達する。日本では、偏西風による中国からの越境汚染被害が注目を集める。最近では、2007年5月8、9日に相次いだ光化学スモッグ注意報の原因は、中国大陸からの光化学オキシダント(オゾンが主成分)の可能性が高いとされる。近年は、黄砂が汚染物質の運搬役となる危険性も指摘されている。日本は、酸性雨への対処として、東アジア酸性雨モニタリングネットワークを2001年から本格稼働させたほか、黄砂飛来情報の試験提供(07年5月末まで)にも取り組んでいる。同年4月の温家宝中国首相訪日の際の「環境保護協力の一層の強化に関する共同声明」では、日中間の、汚染物質の排出削減と、黄砂防止のためのモニタリングネットワーク整備計画などが盛り込まれた。