東日本大震災で、甚大な被害を受けた岩手県陸前高田市の高田松原の約7万本の松のうち、大津波に耐えて唯一残った松。高田松原は、国指定名勝に指定された景勝地で、砂浜に長さ2キロにわたって松が連なっていた。1本残った松の品種はアイアカマツで、高さは約27メートル。「希望の松」ともよばれ、震災復興のシンボルとして地元の人々に親しまれてきた。しかし、海水がしみ込んで根が腐り、衰弱して回復の見込みがなくなったため、挿し木や種から新しい苗を作る取り組みなどが行われてきた。2012年5月には枯死が確認され、放置すれば倒木の危険もあることから、同年9月12日、人工的な処理を加えて保存するために伐採された。伐採した幹は芯をくり抜いて防腐処理を施し、枝葉はレプリカを作成。腐食した根は引き抜いて金属の支柱を立てて、幹や枝と組み合わせ、元あった位置にモニュメントとして保存される。完成は13年2月の予定。