動脈硬化によってできた血のかたまりが、脳、心臓、足の血管などに詰まる病気の総称。これまでは脳梗塞(こうそく)、心筋梗塞、狭心症、末梢動脈疾患というように、別の病気として扱われていたが、病態が共通していることから、疾病概念を統一して呼ぶようになった。動脈硬化が進行すると、血管の内壁に酸化した脂肪などが沈着して、プラークというお粥状の病巣ができる。それが破れると、赤血球や血小板が張り付き、団子状の粥腫性血栓(じゅくしゅせいけっせん)を形成。血液の流れを阻害し、周辺の組織が壊死する。さらに、血栓の一部がはがれて、他の小さな血管をふさぐこともある。そのため、アテローム血栓症の患者は、複数の場所で血管が閉塞しやすく、例えば脳梗塞になった人は、心筋梗塞も併発する危険性が高い。世界保健機関(WHO)の統計によると、アテローム血栓症での死者は増加傾向にあり、近年では、がんや感染症を抜いて死亡原因の第1位である。全人類で約3割、とくに欧米では、死亡原因の半数を占めるといわれている。