理解不足から生じる誤解や偏見の解消を目的に、障害のある人やホームレス、異教徒、難民など、日常生活では接する機会の少ない人々を招き、「生きている本」として貸し出す試み。参加者は、「読者」として希望する「本」を借り、約30分にわたって1対1などの少人数で対話をする。2000年にデンマークのコペンハーゲンで開かれたロックフェスティバルの企画として、非暴力を訴える若者のグループが開催したのが始まりで、世界40カ国以上で紹介されている。主に学生や市民団体が運営主体となって不定期に開催されるが、オーストラリアのように国の支援で定期的に開催している例もある。日本では、東京大学先端科学技術研究センターに事務局を置くLiving Library Japanが、2008年12月に京都市で初めて開催し、元薬物依存者、性同一性障害者など、11人の「本」を招いた。以降、大学や公共施設、野外イベントなどで、09年12月までに計9回開催されている。なお、活動のネットワークの本部であるThe Human Library Organisationは、10年1月に活動の名称を「ヒューマン・ライブラリー」に改めることを発表し、10年をその移行期間としている。