肝臓の細胞が、がん化して悪性腫瘍になる病気。アフリカや東南アジアで、比較的多く見られる。肝臓のがんは、胃や大腸など他の臓器から移ってくる転移性肝がんと、肝臓から発症する原発性肝がんに大別できる。日本では原発性肝がんの9割を肝細胞がんが占める。主な原因は、肝炎を起こすウイルスの持続感染で、慢性肝炎や肝硬変によって炎症を繰り返すうちに細胞の遺伝子が変異し、がん化すると考えられている。とくにB型肝炎やC型肝炎にかかると、罹患率が健常な人の100倍以上となる。したがって予防には、ウイルス性肝炎の血液感染に注意する、感染したら定期的にCT(コンピューター断層撮影)などの画像検査を行い、酒やタバコは控えることが重要とされる。初期症状はほとんどないが、進行につれて腹部にしこりや圧迫感を感じ、がんが破裂すると腹部の激痛、血圧低下に見舞われる。また、肝硬変にともなう症状として、食欲不振、倦怠感、腹部膨満感、微熱、むくみなどがあげられる。治療は、腫瘍の大きさや部位によって異なるが、患部切除や肝移植などの外科手術、電気針を刺して腫瘍を焼くラジオ波治療、放射線治療、抗がん剤による化学療法などを組み合わせて行う。