筋肉を動かし、運動をつかさどる神経(運動ニューロン)が徐々に機能を失い、全身に力を入れることができず、筋肉がやせていく病気。手足をはじめ、のどや舌の筋肉、呼吸に必要な筋肉までもやせ衰え、人工呼吸器による延命措置がない限り、大多数は呼吸不全で死亡する。50~60歳代の男性が最もかかりやすく、発症年齢の平均は59歳。有病率は10万人に5人程度で、日本では1974年、公費助成で治療できる難病(特定疾患)に指定された。2012年には、約8500人が医療給付を受けている。原因や有効な治療法は、今のところ不明。神経の老化が関係しているらしく、全体の5~10%を占める家族性ALS以外は、遺伝性もほとんどない。症状は、手足が使いにくい、または話しにくい、食べ物が飲み込みにくい、といったレベルで始まり、最終的にはどちらの障害も進行してゆく。ただし感覚や知能、視力や聴力、内臓機能などには症状が出にくく、それらを陰性徴候という。12年8月、岐阜薬科大学などの研究チームが、ALSの進行を遅らせるたんぱく質を特定したことを発表。それと前後して、京都大学iPS細胞研究所らのグループも、治療薬の候補となる化合物を特定したことを発表した。