医学・歯学の大学で行われる解剖学実習の教材として、死後、自らの遺体を無条件・無報酬で提供すること。献体を希望する人は、受け入れを実施している大学、もしくは全国にある献体篤志家団体へ本人が書面で直接申し込み、登録を受けなければならない。その時に条件として、同居別居を問わず、血のつながりがある人(肉親)全員の同意を必要とする。また、登録済みであっても、死後に遺族の中から一人でも反対者が出た場合は、献体は実行されない。健康体でなくても献体は可能だが、C型肝炎、AIDSなどの感染症患者は登録できない場合もある。大学に提供された遺体は、解剖学実習の中で、学生に人体の構造を理解させるための正常解剖を行ったのち、一体ごと火葬され、1~2年後に遺骨が遺族に返される。こうした献体登録の手順や条件、遺体の取り扱いについては、1983年に制定された、医学及び歯学の教育のための献体に関する法律で規定されている。2008年度の登録者数は、累計で約23万3000人にのぼり、近年、高齢者を中心に希望者が急増中。その結果、登録の制限や一時休止を行う大学も出てきている。