日常生活に最低限必要な足の筋力に対して、現状の筋力でどれほど余裕があるかを示す指標。立命館大学スポーツ健康科学部の吉岡伸輔助教らが考案した概念で、2012年8月6日、計測に用いる「筋力余裕度計」の試作機を発表した。計測の方法は、上半身(胸の下)と片方の足の太ももに、「加速度センサー」と物体の回転速度などを測る「ジャイロセンサー」を内蔵した小型装置をつけ、しゃがみこんだ姿勢から全速力で立ち上がる動作を1回だけ行うというもの。この際に、ひざと股関節で生み出される力を測定する。しゃがみこむ姿勢はできる範囲でよいため、筋力が弱った高齢者でも測定可能。測定値は、吉岡助教らが割り出した必要最低限の筋力値(100%)との比率に変換して出力される。たとえば、筋力余裕度が200%なら最低限必要な筋力の2倍あるという意味で、十分な余裕があることを示す。一方、130%を切ると走る動作や屈曲運動でつらさを感じるようになり、100%未満ではトイレへ行く、階段を上るなどの日常生活動作(ADL)にも支障をきたす要介護状態だという。手軽に筋力の状態を把握することで、トレーニングなど効果的な対策につなげ、寝たきり予防に役立てるのがねらい。病院でのリハビリや、スポーツ分野などでも応用できる。筋力余裕度計は1万円未満の価格帯で、2年以内の製品化を目指すという。