日本で未承認の医薬品や、既存医薬品の適応外使用(未承認の効能)について、有効性や安全性が公然と知られている場合、臨床試験を省略して承認申請できる新システム。国内と海外で、使用可能な医薬品に差が生じる、ドラッグラグやワクチンラグの解消策の一つとして導入された。対象となるのは、海外で十分な実績をもち、患者団体や学会からの要望により、厚生労働省の検討会議が医療上の必要性を認めた医薬品。2010年までに374件の要望が集まり、うち108件が候補にあがっている。10年8月、シクロホスファミド水和物(商品名「エンドキサン」)、ワルファリンカリウム(商品名「ワーファリン」)、カペシタビン(商品名「ゼローダ」)、ゲムシタビン塩酸塩(商品名「ジェムザール」)、ノギテカン塩酸塩(商品名「ハイカムチン」)の5成分7件の適応外使用に対し、薬事・食品衛生審議会が事前評価を行い、初めて公知申請可と判断した。また、事前評価が終了した段階で、約6カ月後の承認を待つことなく、医療保険の適用も始まった。10年10月には、さらにビソプロロールフマル酸塩(商品名「メインテート」)、バルプロ酸ナトリウム(商品名「デパケン」)など、9成分10件が申請可とされている。