血液のがんと呼ばれる、慢性骨髄性白血病(CML)治療に使われる抗悪性腫瘍薬。一般名をイマチニブメシル酸塩という。スイスに本拠をおく製薬会社ノバルティスファーマ社が開発し、2001年に「グリベック」の商品名で発売された。従来の抗がん剤とは異なり、がん細胞の増殖などにかかわる特定分子だけを狙い撃ちできる分子標的薬という作用の医薬品で、遺伝子異常により発症するCMLの進行を効果的に阻む。1日1回服用の飲み薬(錠剤)なので、扱いやすいのも特長とされる。使用には医師の処方せんが必要で、肝障害や心疾患をもつ人、高齢者には慎重投与、妊婦への投与は禁じられている。日本で承認されている効能は、CMLのほか、血液がんの一種であるフィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病、好酸球増多症候群(HES)、慢性好酸球性白血病(CEL)、胃や腸にがんができる消化管間質腫瘍(GIST)の5疾病。12年4月には、肺動脈性肺高血圧症の治療薬として、効能追加の承認申請も出願された。