短時間で多量に飲酒した時などに生じる、一過性の中毒。酒類に含まれるエチルアルコール(エタノール)は、体内に入ると胃および小腸から吸収され、肝臓や筋肉で最終的には酢酸へと分解される。しかし、その際に分解酵素の働きが追いつかず、アルコール血中濃度が大幅に上昇すると、中枢神経系が麻痺(まひ)してしまう。通常、ほろ酔いレベルのアルコール血中濃度は、おおよそ0.1リットルあたり30ミリグラムといわれ、200ミリグラムでは酩酊(めいてい)を過ぎて泥酔状態。さらに上がって300~500ミリグラムに達すると、意識が混濁し、強度の運動失調や昏睡(こんすい)に陥る。血圧や体温も低下し、重症の場合には死亡の危険も出てくる。その際は速やかな治療や救命措置が必要で、気道確保、催吐、胃洗浄、点滴、血圧・体温調節のほか、緊急血液透析が行われることもある。飲酒後にアルコール血中濃度がピークに達するのは30分~2時間後だが、個人差が大きく、胃の内容物などでも左右される。東京消防庁の管内では、年間約1万人が急性アルコール中毒で救急搬送されており、12月が1年のうちで最も多い。年代別では、20歳代~30歳代に集中しているという。