タイガーマスク運動、伊達直人現象(運動)ともいう。漫画「タイガーマスク」の主人公「伊達直人」の名前を名乗って匿名で児童養護施設などにランドセルや文房具、現金などを贈る善意の寄付。始まりは、2010年12月25日、群馬県前橋市の中央児童相談所に「子どもたちのために使って下さい」というメッセージとともに新品のランドセル10個が届けられたこと。このニュースに共感を覚えたり、感銘を受けた人たちによって、同様の寄付が全国に広がり社会現象となった。「タイガーマスク」(梶原一騎原作)とは、1968~71年に講談社の「少年マガジン」などに連載され、テレビアニメでもヒットしたプロレス漫画で、孤児だった主人公の伊達直人が、覆面レスラー「タイガーマスク」となって悪役相手に活躍。そのファイトマネーを、自らが育った孤児の家の子どもたちのために寄付し続けた物語。2011年1月12日時点で全都道府県すべて、約280件を超す寄付の輪に広がった。贈り物の中には、金の延べ板や高額な現金、玩具、米や野菜、果物などもあり、お小遣いで買ったという文房具を贈った小学生や、初ボーナスを全額使ってランドセル10個を贈ったという人も現れた。また、「伊達直人」のほか「桃太郎」「龍馬」「矢吹丈(「あしたのジョー」主人公)」「伊達政宗」「やましたきよし(画家の山下清)」「浜野あさり(「あさりちゃん」の主人公)」「鉄人28号」「せんとくんの友人」、タイガーマスクに登場する施設で子どもたちの世話をする「若月ルリ子」や、「アンパンマン」「京塚昌子(「肝っ玉かあさん」)」「みなしごハッチ」「スティッチ」「ウルトラマンの父」「ミナミの帝王」「星飛雄馬」「仮面ライダー」、また「伊達直子」「伊達ニャオト」などの名前でも贈られている。ランドセルの寄付が、保護者のいない児童や、親から虐待を受けた子どもらが入所する児童養護施設の存在を改めて注目させたほか、これまで希薄と言われていた日本人の日常的な小さな「寄付」の文化についての考察にまで影響が及んでいる。また、原作漫画を刊行する講談社に、合計1万部以上の書店からの注文が殺到しているという。