2012年9月6日に中央防災会議(会長・内閣総理大臣)で決定した、首都圏が大規模水害に襲われた場合に、国と自治体が取るべき防災対策の基本方針。首都圏は人口が密集し、地下利用が盛んなことなどから、大規模な水害に見舞われると、自治体をまたがる広範囲な地域で甚大な被害の発生が予測される。そのため、被害を最小限にとどめる予防対策、応急対策、復旧・復興対策が必要とされた。地震以外の災害では初めての大綱策定となる。大綱では首都圏の大規模水害として、利根川の氾濫、荒川の氾濫、巨大台風による東京湾の高潮の3つの被災シナリオを想定。排水施設が稼働せず誰も避難しない最悪のケースでの被害は、約110~530平方キロが浸水し、死者は2000~7600人、孤立者80万~110万人に達すると予測している。この予測に基づき、リスクを分散して壊滅的な被害を回避する、国の主導で自治体間の事前調整を図ることを基本的な方向にして、想定される被害の軽減を図ることになった。具体的な対策としては、(1)各自治体の調整で整合性のある広域避難計画を策定し、的確な避難を実現して被害を軽減する、(2)広域防災体制の確立などで公的機関の応急対応力を強化し、ライフラインなど重要機能を確保する、(3)避難訓練の実施などを通じて、地域住民の大規模水害への対応力を強化する、(4)治水対策などにより被害の軽減を図る、(5)衛生環境の確保や治安など、大規模水害特有の問題に備える、(6)広域的な応急活動体制を強化し、実践的な防災訓練などを通じて対策の効果的な推進を図る、などがあげられている。