長崎県の対馬にのみ生息する野生のネコ。1908年に初めて存在が報告された。約10万年前に、当時陸続きだった大陸から渡ってきたベンガルヤマネコの亜種であるアムールヤマネコの変種とされる。近縁のアムールヤマネコは朝鮮半島などにも分布する。体長60~90センチ、体重3~5キロで、イエネコとほぼ同じ大きさだが、耳先が丸くて後ろに白い斑紋があり、胴長で足がやや短く、尾が太いなどイエネコとは異なる特徴がある。毛色は全体的に灰褐色で、灰色から赤茶色のはっきりしない斑点があり、額から後頭部にかけて白と黒の縦じまが続く。夜行性で、ノネズミやモグラ、鳥類やカエル、トカゲなどを捕まえて食べる。1960年代には250~300頭いたといわれる生息数は、生息環境の悪化や交通事故などで減少し、現在は80~110頭と推定される。71年に国の天然記念物に、94年には種の保存法に基づく国内希少野生動植物種の第1号に指定された。2012年度はツシマヤマネコが巻き込まれる交通事故が多発し、過去最悪の件数を更新したことから、環境省、長崎県、対馬市は、12年12月10日に10年度に続いて2回目の「ツシマヤマネコ交通事故非常事態宣言」を発令した。