普通に触れるうえでは問題にならない程度の、低い温度で起こるやけど(熱傷)。電気アンカ、湯たんぽ、電気毛布、使い捨てカイロなどの保温器具に、長時間、肌の一部が接触することで発症するケースが多い。一般的には、接触部の温度が44度だと3~4時間以上、46度では30分~1時間、50度では2~3分で受傷するといわれている。熱さや痛みを感じないため、軽症に見られがちだが、気づかないうちに皮膚の深部組織まで損傷して、ほとんどの場合、最も重篤な第3度熱傷(deep burn)に至る。そうなると、皮膚や筋肉組織に壊死(えし)が起こるため、手術による治療が必要になることもある。また、経過がよくても、治るまでに2~3カ月以上の長い時間がかかる。体の中で、とくに低温やけどを起こしやすいのは、血行が悪く、熱を感じにくい足のすねの外側。疲労、泥酔した人はもちろん、睡眠薬を常用する人、知覚まひや糖尿病などの疾患をもつ人についても、熱を感じる知覚が鈍っている可能性があるので、注意が必要とされている。