日本皮膚科学会が2010年にまとめた、男性型脱毛症診療のための初のガイドライン。男性型脱毛症とは、思春期以降に額の生え際や頭頂部の髪が、抜け細って薄くなる進行性の禿頭症(とくとうしょう)で、男性ホルモンが複雑に関与して起こるため男性に多い。遺伝傾向もあるが、規則性や原因遺伝子は未解明。指針では治療薬や育毛剤成分、植毛など10種類の対処法について、10人の専門医が国内外の論文などから科学的根拠を調査し、5段階評価を行った。その結果、推奨度A「強く勧められる」とされたのは、塗布薬ミノキシジル(商品名「リアップ」)、内服薬フィナステリド(商品名「プロペシア」)の男性の服用で、推奨度B「勧められる」は自毛植毛、推奨度C1「考慮してもよいが、十分な根拠がない」には育毛剤成分のt-フラバノン、アデノシン、サイトプリン、ペンタデカン、塩化カルプロニウム、ケトコナゾールがあげられた。一方、推奨度C2「根拠がないので勧められない」は内服薬セファランチン、推奨度D「行わないよう勧められる」は人工毛植毛が判定された。A~C1の対処法を、軽症、中等症、重症の患者に適用させる治療手順も提示している。