国土と国民の生命、財産を災害から守り、社会の秩序維持と公共の福祉を確保することを目的に、災害対策全体を体系化して、総合的かつ計画的な防災行政の整備と推進を図るための法律。5000人を超える犠牲者を出した1959年の伊勢湾台風を契機として、61年に制定された。 (1)国や都道府県、市町村や指定公共機関などに防災計画の作成と実施、相互協力を義務づけ、住民にも自発的な防災活動参加などの責務を求めるという、防災に関する責務の明確化、(2)国に中央防災会議、都道府県と市町村それぞれに防災会議を設置し、災害発生またはその恐れがある場合には災害対策本部を設置する、(3)中央防災会議による防災基本計画の作成など計画的防災行政の整備、(4)災害対策を、災害予防、災害応急対策及び災害復旧という段階に分け、防災訓練の義務、市町村長の警戒区域設定権、災害時の交通規制など、国や自治体などの役割分担や権限を規定、(5)激甚災害に対する財政援助、(6)重大かつ異常な激甚災害が発生した場合には、内閣総理大臣が災害緊急事態の布告を発することができる、などを主な内容としている。95年の阪神・淡路大震災後に2度の改正が行われているが、2011年の東日本大震災に際しては、被害の報告や支援要請などを行う起点である市町村が、宮城県南三陸町のように庁舎が壊滅したり、岩手県大槌町のように町長をはじめ多くの人材が失われたりして機能不全状態に陥る事態が多発。災害対策基本法に想定されていない、新たな課題とされた。