ホスピタル・プレイス・ペシャリスト(HPS)は、遊びを通して入院や通院している子どものストレスを軽減し、治療をサポートする専門職の名称。1985年にイギリスで国家資格として承認され、この資格を有する者をNational Hospital Play Specialist(NHPS)と呼ぶ。HPSは、イギリス国内の90%以上の小児科で医療チームの一員として従事している。この資格を取得するには、保育士として5年以上病棟での保育経験があることが条件で、さらにHPSの教育機関で1年間学ぶ必要がある。また、国家資格の取得後は、5年ごとに講習や審査を受けて資格更新をしなければならない。チャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)は、アメリカで1982年に発足した非営利団体のチャイルド・ライフ・カウンシルが認定する資格で、イギリスのHPSと同様に、闘病生活を送る子どもやその家族のサポートを行う。アメリカに400以上ある小児病院などの医療施設に配置されており、香港やカナダでも国際資格として認められている。CLSの資格取得には認定試験に合格する必要があり、受験資格は心理学や家族関係などの関連科目を10単位以上取得し、CLSの資格を有する者(Certified Child Life Specialist CCLS)の下で480時間以上の病院実習を受けなければならない。なお、日本人がHPSやCLSの資格を取得するには、イギリスやアメリカなどに留学して専門教育機関で学ぶ必要があるが、HPSについては2007年8月、静岡県立大学短期大学部が「HPS Japan」を設立し、離職した保育士や看護師を対象にHSPの養成講座を開始した。イギリスのHPS教育機関と提携し、09年度までの3年間のプロジェクトで約50人のHPSを養成する。また、CLSについては、日本チャイルド・ライフ研究会が資格取得のための情報提供などをウェブ上で行っている。