アメリカの製薬会社ファイザー社が、ニコチン依存症の治療を目的に開発した、錠剤タイプの飲み薬。日本で初めての、ニコチンを含まない禁煙補助薬。商品名をチャンピックス、一般名をバレニクリン酒石酸塩(varenicline tartrate)といい、日本ではファイザー株式会社(本社・東京都渋谷区)が、公的医療保険の対象となる医療用医薬品として、2008年から国内販売している。この薬の成分は、ニコチンの刺激を感じとる脳の受容体に作用し、喫煙で得られる満足感を抑えることで、タバコへの欲求を軽減。さらに禁煙に伴うイライラ、気分の落ち込み、集中力の散漫といった、離脱症状も緩和して、禁煙治療を助ける。従来の禁煙補助薬のように、ガムや貼り薬で少量のニコチンを代替補給して断煙するのではなく、薬を飲みながら徐々に喫煙本数を減らすため、比較的スムーズに禁煙が可能。処方には医師の診断を要し、通常は12週間を一区切りとして、指導されたスケジュールに従い用量用法を変える。服用中はめまい、眠気などが起こることがあり、軽い副作用では吐き気、便秘といった胃腸症状が多数報告されている。一方、統合失調症やうつ病などの精神疾患、腎機能障害の持病がある人、血液透析患者、妊婦などは重症化の危険性があるため、とくに注意が必要である。