世界保健機関(WHO)の専門組織、国際がん研究機関(IARC)が2011年5月31日に発表した、携帯電話の電磁波に発がんの可能性があるという見解。14カ国31人の専門家で構成されるIARCの研究グループは、携帯電話を耳に当てて長時間にわたる頻繁な利用を続けると、発生する電磁波によって、悪性脳腫瘍の一種である神経膠腫(グリオーマ)や、耳の聴神経腫瘍を引き起こすリスクを高めるという調査結果をまとめた。IARCは発がんリスクを、(1)発がん性がある、(2A)おそらくある、(2B)可能性がある、(3)発がん性があると分類できない、(4)おそらくない、の5つのランクに分類しており、携帯電話の電磁波を(2B)に位置づけた。同じランクには、コーヒーやガソリンエンジンの排ガスなどが含まれる。文字を打つメールでの携帯電話の使用は、発がんリスクとの関係はないという。IARCではリスクの数値化はしていないため「根拠はまだ限定的でさらなる研究が必要」だとし、結論が出るまでの予防策として、脳に電磁波の影響が直接及ばない、携帯電話のハンズフリー機能の使用などを挙げている。