心臓の複雑な奇形で、右心室と左心室が正常に形成されず、生まれつき心室が1つしかない病気。複雑先天性心疾患ともいい、先天性心疾患の2%を占める。全身から戻ってくる静脈血と、肺からの動脈血が心臓内で混ざるため、血中酸素濃度が不足して唇や皮膚などが青ざめるチアノーゼが起こり、患児の50%は生後1カ月以内、74%は生後6カ月以内に死亡する。治療には心室を修復する手術しかないが、1つの心室を分割するのは困難なので、全身からの静脈血を肺へ、肺からの動脈血を全身へ送る機能だけを修復するフォンタン型手術(機能的根治手術)を進める。すなわち、心室に入り込む大静脈を切り離して肺動脈に直接つなぎ、心室には肺からの動脈血だけ流れ込むようにする。ただし、その際には肺の血流を調節する必要があり、状態に応じて生後2~4週間後に肺動脈絞扼術(はいどうみゃくこうやくじゅつ)かBTシャント術という手術を施しておき、生後3~6カ月で上半身からの大静脈を肺動脈につなぐグレン手術、2歳をめどに下半身からの大静脈を肺動脈につなぐ最終手術を行う。2011年11月、慶應義塾大学医学部の先天性心疾患診療チームが、これまで世界で報告例がない、生体肝移植後の単心室症患児に対する修復手術で成功をおさめた。