従来の世論調査よりも正確に民意をつかめる手法として、アメリカのスタンフォード大学のジェームズ・フィシュキン教授とテキサス大学のロバート・ラスキン准教授が考案した。通常型の世論調査と討論フォーラムの二段階からなり、まず無作為抽出による3000人規模の世論調査を行った後、回答者の中から300人程度を一堂に集め、調査テーマについて徹底的に討論してもらう。参加者には事前に、テーマに関する詳細な資料が送付される。討論は全体討議と20人程度のグループ討議を繰り返して行われ、そのうえで最後に参加者全員の意見を再度調査する。フィシュキン教授は、討議を経た回答こそが国民の真の声であり、熟議の民主主義につながるとしている。また、十分な情報に基づく討論によって人々の意見がどのように変わるか、態度形成の変化もつかめる利点がある。1994年にイギリスで「治安と犯罪」をテーマに実施されて以来、これまで世界20カ国以上で実施されている。日本では2009年以降、神奈川県や同県藤沢市、朝日新聞社などが、街づくりや年金問題をテーマとして実施している。