ヒトの鼻やのどに存在する、ヘモフィルスインフルエンザ菌b型(haemophilus influenzae type b Hib)から作られるワクチン。Hibは細菌の中でも病原性が高いグラム陰性菌で、流行性感冒を起こすインフルエンザウイルスとは無関係。そのままだと害はないが、血液や肺の中に侵入すれば、髄膜炎、敗血症などの重い感染症を引き起こす。とりわけ5歳以下の乳幼児に、細菌性髄膜炎を発症させる原因となり、日本では推計で年間1000人程度が罹患(りかん)している。発症すると、初期診断や治療が難しく、5%が死亡し、15~25%に知能障害や聴覚障害などの後遺症が生じる。ヒブワクチンは、この細菌性髄膜炎の予防や治療に効果があり、1998年には世界保健機関(WHO)が、乳幼児への定期接種を推奨する声明を出した。商品名を「ActHIB」といい、現在、世界100カ国以上で使用されている。日本では社会的関心が高まらず、先進国の中で唯一承認が遅れていたが、07年1月に厚生労働省が認可。08年12月より発売される見通しとなった。