治療薬が効かない、薬剤耐性のマイコプラズマ細菌による感染症の俗称。主な症状は通常のマイコプラズマ肺炎と同じで、2~3週間の潜伏期の後、発熱、全身倦怠、頭痛などが見られ、発症後3~5日ごろから痰(たん)をともなわない乾いたせきや喘鳴(ぜんめい)が出て3~4週間続く。とくに、幼児期から学童期の子どもがかかりやすい。マイコプラズマ細菌は、ペニシリン、セフェムなど、細胞壁を壊して殺菌する抗生物質は効かないが、クラリスロマイシン、アジスロマイシンといった、菌のたんぱく質合成を阻害して増殖を抑える、マクロライド系と呼ばれる抗生物質はよく効き、簡単に治療できた。しかし近年、遺伝子の変異でマクロライドに強い耐性力を示す菌が世界的に出現し、耐性率も年々上昇してきている。また、以前は4年サイクルで流行を繰り返していたのが、最近はその傾向も崩れつつあるという。2011年春先から始まった国内流行では、薬剤耐性菌の割合が約9割に達したという報告もある。治療薬としては、マクロライド系に似た作用のミノサイクリンが今のところまだ有効だが、副作用の危険から、8歳未満には推奨されていない。手洗い、うがい、患者との濃厚接触を避ける、などの一般的な予防法で感染を防ぐことが唯一の手だてとなっている。