インフルエンザなどの感染症を予防するため、原因となるウイルスや細菌から作ったワクチンを体内に植えつけ、その疾病に抵抗する力(免疫)をつけること。日本では対象となる疾病、接種を受ける義務、実施方法などが予防接種法で定められている。使われるワクチンは、毒性を弱めたウイルスや細菌を、生きたまま体内に入れる生ワクチン、死んだウイルスや細菌から、必要な成分を抽出して作った不活化ワクチンの2種類。実施方法についても、社会的流行を防ぐ目的から公費負担で受けられる定期接種、健康を守るため全額自己負担で受ける任意接種の2種類があり、対象となる疾病で異なる。このほか、疾病のまん延など緊急時に国や地方自治体が実施する臨時接種もある。インフルエンザの予防接種は、不活化ワクチンを使い、65歳以上および60~64歳の一部対象者が定期接種、それ以外は任意接種と決められている。2009年8月、厚生労働省は新型インフルエンザA-H1N1についても、任意接種の方針を打ち出した。ただしその場合、医薬品の副作用にあたる副反応で健康被害にあっても、国による救済がないことから、特別な補償制度が検討されている。