頭の位置や向きを変えた時に、突然、ぐるぐる回るように感じるめまい(回転性めまい発作)が起こる病気。寝返りを打った時、起き上がった時、上や下を向いた時などに起こりやすく、安静にすれば通常は数十秒でおさまる。程度によっては吐き気や嘔吐(おうと)をともなうが、本症自体に危険性はなく、聞こえが悪くなったり、脳機能の障害などに発展することはない。めまいの症状で外来を受診する患者の大半がこの病気で、とくに40~60歳代の女性に多いのも特徴。原因は、内耳にある三半規管という平衡感覚をつかさどる器官に異物が入り、頭を動かすたびに転がって神経受容体(感覚細胞)を刺激するため。異物は耳石(じせき)の細かい粒がはがれ落ちて結晶化したもの、と考えられている。頭部に衝撃を受けたり、内耳に疾患があると、耳石の剥落(はくらく)が起こりやすい。治療には、頭をゆっくり回して異物を三半規管の外に出すエプレイ法(epley)などの運動療法が有効で、90~95%の人は薬を使わずに治る。2012年3月、原因不明の体調不良でアルガルベカップ決勝などを欠場した、サッカー日本女子代表の澤穂希選手が、良性発作性頭位めまい症と診断された。