腎臓に障害が起こり、機能の低下や異常が慢性的に続く病気。人工透析や腎移植を必要とする重い腎不全の予防のため、新しい疾病概念としてアメリカで提案され、日本でも広まり始めた。日本腎臓学会の推計では、国内の患者数はすでに1330万人(20歳以上の8人に1人)に達しており、そのため「新たな国民病」「隠れ腎臓病」とも呼ばれる。主な要因は生活習慣と考えられ、肥満、運動不足、飲酒、喫煙、ストレスなどが関係する。また、高血圧や糖尿病、加齢、メタボリックシンドロームも発症率を高めることがわかった。初期にはほとんど自覚症状がないが、進行すると貧血、疲労感、むくみ、夜間尿、息切れなどの症状が現れる。ある段階まで進行すると自然治癒が難しくなり、腎不全を発症したり、心臓病や脳卒中を併発することもある。早期発見には定期健康診断が有効で、血清クレアチニンという血液中の老廃物を測定する血液検査、尿中のたんぱく質を測定する尿検査によって診断が可能。腎臓の働きが健康な人の60%以下に低下するか、尿たんぱくが出た場合に疑いありとされる。