交差点の中央に円形地帯(中央島)を設け、その周囲を一方通行の環状道路で取り囲んだ円形交差点のこと。通行車両は、交差点をどの方向へ進むにしろ、必ず左折(時計回り、日本の場合)で環状道路に入り、目的の方向へ抜けることになる。特徴は、環状道路を通行する車両が優先される点と、環状道路に流入する車両も、信号機や一時停止標識などによる一律の通行制限が課されない点。これにより、信号機を用いなくても十字路の交通整理が可能となる。従来からロータリー交差点と呼ばれる類似の構造はあるが、信号があったり流入する車両のほうが優先であったりするため、ラウンドアバウトとは区別される。導入のメリットとしては、(1)速度の抑制や交差点での衝突が避けられるなど安全性の向上、(2)信号によるムダな待ち時間の解消など交差点の円滑性向上、(3)信号機を使わないことによる省エネ効果や維持管理にかかる経費の節減、(4)災害時や停電時でも自律的な交通整理が可能、といった点が挙げられる。一方、デメリットとしては、信号交差点に比べて交通容量が低いため、交通量の多い交差点には適さないこと、既存の交差点に導入する場合の用地制約の問題などがある。ラウンドアバウト方式が初めて導入されたのは1960年代のイギリス。90年代ごろからドイツ、オーストラリア、アメリカなど先進諸国に広がり、日本国内でも少しずつ導入が始まっている。2013年2月5日には、長野県飯田市の「東和町交差点」でも運用が開始されたが、既存の交差点から信号機を撤去し、ラウンドアバウト化したのは日本初のケースという。