病院や診療所で使われる医療用語のうち、特に難解な言葉を、一般の人でもわかるように工夫・提案したもの。2007年4月、独立行政法人国立国語研究所が、医療や言語などの分野から専門家・研究者を集めて委員会を設け、08年10月に「『病院の言葉』を分かりやすくする提案」として中間報告を発表。ホームページで意見を公募した後、09年3月に最終報告を行った。委員会では、初期抽出の約2000語から選んだ100語をネットリサーチにかけて、(1)認知度が低い言葉(「イレウス」「エビデンス」「寛解」など)、(2)認知度は高いが、内容の誤解や混同が多い言葉(「頓服」「治験」「合併症」など)、(3)新しく登場した重要な言葉(「QOL」「緩和ケア」など)に分類。最終的に57語に絞り込み、それぞれ「まずこれだけは」「少し詳しく」「時間をかけてじっくりと」という3パターンのアプローチで言い換えや説明の具体案を付している。最終報告書は、同研究所ホームページからダウンロードが可能。また、手引き書の形にまとめた264ページの市販本『病院の言葉を分かりやすく―工夫の提案―』が、勁草書房より刊行されている。