生活保護を受給している者のうち、父母の一方、あるいは両方がいない児童の養育者に加算される、追加的な給付金。加算額は自治体によって異なり、2004年度の都市部の場合、18歳未満の児童の1人目については月額2万3260円、2人目は1840円、3人目以降は940円が給付されていた。生活保護制度の一つとして1949年に創設されたが、社会保障費抑制の流れを受けて、2004年に厚生労働省が廃止を決定。厚労省は廃止の根拠として、母子加算を受給する世帯の生活保護費が、生活保護を受けていない母子世帯の消費支出を上回っていることをあげている。05年度から段階的な給付額の減額と児童の対象年齢の引き下げが始まり、08年度末に全廃。07年度には「ひとり親世帯就労促進費」が新設され、就労しながら子育てをするひとり親世帯に月額1万円、職業訓練中の場合には5000円が支給されているが、母子加算より少額なことに加えて、病気などの理由で就労できない場合は対象にならない。このため、「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する憲法第25条に違反するとの批判があり、各地で自治体を相手に母子加算廃止の取り消しを求める提訴が相次いでいる。