原因不明の強い疲労感が長期間続く病気。1988年、アメリカの疾病予防管理センター(CDC)が、疾患として提唱した。病因については、精神疾患との関連などが専門家の間で注目されているが、詳細は解明されていない。過去に集団発生が見られたため、ウイルス説や免疫異常説が騒がれたこともある。アメリカや日本で作成された診断基準では、日常生活が著しく損なわれるような身体の疲労が最低6カ月以上続き、その間に、(1)37~38度程度の発熱や悪寒、(2)のどの痛み、(3)首・腋のリンパ節の腫れ、(4)原因不明の筋力低下、(5)筋肉の痛みや不快感、(6)軽い作業後に1日以上続く全身倦怠感、(7)頭痛、(8)腫れを伴わない関節痛、(9)物忘れ、抑うつ、思考や集中力の低下といった精神神経症状、(10)過眠・不眠などが持続、くり返すような場合に疑いありとされる。小学生から中高年まで年齢や性別を問わず発症し、現在、日本には潜在者も含めて推定200万人以上の患者がいるとみられる。治療は対処療法が中心。生命を脅かす危険性は少ないものの、外見からは何ら異常が認められないことで、周囲の理解を得られず、社会的に孤立してしまうケースもある。