0~9歳の小児を中心に、春先から夏に流行しやすい伝染性疾患。正式な病名は伝染性紅斑(こうはん)というが、発症すると両ほおに発疹ができ、リンゴのように赤くなるため、リンゴ病、リンゴほっぺ病の通称で知られる。長らく原因不明だったが、1983年、ヒトパルボウイルスB19の飛沫感染または接触感染による病気であることがわかった。感染することで血中にできる抗体が、はしか(麻疹)に似ているため、血液検査のみだと誤診につながる可能性を、最近になって国立感染症研究所が指摘した。潜伏期間は10~20日で、発症初期は顔に境界の鮮明な紅斑が現れる。続いて手足に発疹ができ、環状や地図状に広がる。しばしばかゆみをともない、1週間前後であとも残らず消失する。まれに症状が長引いたり、外部からの刺激で再発が起こるケースもある。発熱、頭痛、咽頭痛、関節炎を合併することもあるが、こちらも自然に回復してしまう。そのため特別な治療法やワクチンなどはなく、対症療法のみが行われる。妊婦が感染した場合は、胎児の異常(胎児水腫)や流産に注意が必要。日本では、おおよそ5年周期で流行が見られ、全国約3000カ所の小児科が毎週報告を行う5類感染症(定点把握疾患)に定められている。しかし二次感染予防策は不要とされ、学校保健法にも明確な予防規定はない。