うつ病などに起因する高齢者の自殺を、啓発・教育によって予防するよう考案された自殺予防紙芝居。原作は、高齢者の自殺が急増した秋田県内で、1997年より住民の意識調査、講演会などを行っていた精神科医と臨床心理士が制作。98年、秋田県由利町(現由利本荘市由利地区)で初上演された。ストーリーは、動物の言葉を聞き取れるずきんを拾った若者が、元気をなくし、引きこもりがちになった高齢者への接し方を、タヌキの長老から教えてもらう、というもの。周囲の無理な励ましは、精神的に追いつめて逆効果であること、まずは休養をとらせ、それでも回復しなければ専門医に相談する、といった手順が、聞き手の共感を呼ぶよう秋田地方の方言で語られる。2003年からは、由利本荘市の民間団体であるホットハート由利が、市の心の健康づくり事業の一環として上演を続け、自殺者低減の効果を上げた。そのため、05年に青森県十和田市、07年に鳥取県日南町、08年には和歌山県御坊市も導入し、せりふを当地の方言に置き換えた紙芝居、絵本などの模写作品を制作。上演や貸し出しを行っている。