主に人や豚の間で感染を繰り返す、A型変異株のインフルエンザウイルスによる感染症で、流行性感冒ともいう。ウイルス自体は、表面のヘマグルチニン(H)、ノイラミニダーゼ(N)という2種類のたんぱく質のトゲによる種別で、H3N2と呼ばれる。1968~70年にインフルエンザが世界中で大流行した際、香港で初めて原因ウイルスが特定された。この時の流感を香港かぜといい、100万人以上が死亡した。現在は、77年に旧ソビエト連邦でウイルスが特定されたAソ連型インフルエンザ(H1N1)、2009~10年にパンデミック(世界的大流行)を起こした新型インフルエンザ(現在はインフルエンザ(H1N1)2009に改称)とともに、季節性インフルエンザに位置づけられている。治療には「タミフル」「リレンザ」などのノイラミニダーゼ阻害薬が有効。予防策としては、H1N1、H3N2、B型のウイルス抗原を混合した3価ワクチンの接種が推奨される。11年12月に流行開始が発表された季節性インフルエンザで、検出ウイルスの約9割がA香港型と判明。12年2月第1週には、全国約5000医療機関からの患者報告数が1医療機関あたり42.62人に達し、過去10年で最高の流行水準となった。ピーク時の推計患者数は、約211万人にのぼる。