重病で他には治療法がない患者に対して、人道的見地から例外的に国内未承認の医薬品を使用できる制度。EU(欧州連合)やアメリカではすでに導入されている。2007年7月、厚生労働省の「有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会」(座長:高久史麿自治医科大学学長)が報告書をまとめ、制度の導入を提言した。この背景には、日本の医薬品承認までの期間が諸外国に比べて長く、外国では標準治療薬となっている薬が国内では容易に入手できない、いわゆる「ドラッグ・ラグ」の問題などがある。ただし、未承認薬のため「医薬品副作用被害救済制度」の対象外とならざるを得ない点や、医療保険上の扱い、また対象となる医薬品の範囲など、実現までの検討課題は多い。