臓器移植法は、脳死した人からの臓器移植を認め、臓器の売買や斡旋を禁じる法律。正確には「臓器の移植に関する法律」という。2009年7月13日、参議院本会議で「臓器の移植に関する法律の一部を改正する法律案」(A案)が可決、成立した。施行は公布から1年後。1997年に現行法が成立してから12年ぶりの改正となった。現行法は、臓器移植を前提とした場合の脳死に限り「人の死」(法的な死)と認めること、15歳以上で本人が書面などで臓器移植の意思を示していること、かつ家族の同意があることなどの条件がある。これを改正法では、本人の意思が不明でも家族の同意があれば臓器提供を可能とし、15歳以上という年齢制限も撤廃した。これにより、14歳以下の子どもも日本で臓器移植を受けることができるようになる。今後、子どもの脳死判定のガイドラインの改定や、子どもの臓器提供施設の整備、移植コーディネーターの増員などが検討される。近年、渡航による移植手術(移植ツーリズム)や臓器売買が世界的に大きな問題になっており、日本でも現行法の見直しの議論が活発化。臓器移植は、生命倫理や死生観などに関わる問題のため、国会では今回可決したA案以外に、現行法を基本に臓器提供が可能な年齢を12歳以上とするB案、現行法を基本に脳死判定を厳密化するC案、年齢制限は撤廃するが、15歳未満の場合は家族の同意に加え、第三者機関の審査を必要とするD案の計4案が提出された。09年6月、衆議院本会議でA案から順に採決され、A案が可決。残る3案はA案が可決されたために廃案となった。その後、参議院議員から、A案に「臓器移植に限り脳死を人の死とする」規定を盛り込んだ修正A案、有識者からなる「臨時子ども脳死・臓器等移植調査会」を設置し、子どもの脳死基準などを議論することを盛り込んだ子ども脳死臨調案の2案が提出された。衆議院で可決されたA案と共に参議院本会議で審議されたが、修正A案は否決、A案が可決、子ども脳死臨調案はA案が可決されたことで廃案となった。