生死不明の者に対して、法律上死亡したものとみなす効果を生じさせる制度。失踪宣告には、普通失踪と特別失踪(危難失踪)の二種類があり、前者は生死が7年間明らかでないとき、後者は戦争、船舶の沈没、震災などの死亡の原因となる危難に遭遇し、その危難が去った後その生死が1年間明らかでないとき、家庭裁判所は申し立てにより、失踪宣告をすることができる。申し立てができるのは、配偶者や相続人にあたる者など法的利害関係のある者で、失踪者の死亡が認定されると財産相続などが可能になる。通常、行方不明者の家族はこうした手続きを取り、法律上の死亡が認められないと、原則として預貯金の相続や生命保険金などを受け取ることができない。しかし、東日本大震災での行方不明者に対してこの制度を厳密に適用するのは困難であることから、法務省は被災者の負担軽減を最優先するとして、2011年6月7日に死亡届の受理要件を緩和する通知を全国の市町村に出し、相続などの手続きを簡略化できる措置を取った。