人の眠りの深さや質、リズムなどを計る装置。頭などに多数の電極を取り付け、脳波や眼球の動き、呼吸数やいびきの有無など多くのデータを計測する終夜睡眠ポリグラフィー(PSG)で行う検査が主流だが、病院など検査機関に出向かなくてはならず、費用も高いなど、被験者の負担は少なくない。うつ病や循環器系の病気を引き起こす一因ともいわれる不眠や睡眠障害に悩む人たちが増加の一途をたどるなか、簡単に睡眠の状態を計測できる睡眠計が求められてきた。2010年5月、独立行政法人科学技術振興機構(JST 東京都千代田区)は、財団法人大阪バイオサイエンス研究所と共同で、睡眠の状態を測定できる携帯型脳波計を開発するベンチャー企業を設立した。試作器が完成したこの装置では、おでこと耳の裏などに張った一対の電極のみで脳波を計測し、PSGでは約2時間必要だった解析時間を独自のシステムで5分程度にまで大幅に短縮、一晩の睡眠の深さやリズムを判定することができる。重量は約60gで世界最小レベル。また、健康機器のタニタ(東京都板橋区)も同年6月、寝具の下に敷いて寝るだけで脈拍や呼吸数、身体の動きを測定し、眠りの深さなどを判定できる睡眠計「スリープスキャン(SL-501)」を発売した。