血液中の脂質濃度が基準値よりも低い状態にある脂質異常症(dyslipidemia)。自覚症状がないため、健康診断や別の病気の検査の際などに発見されることが多い。血液中の脂質には、コレステロール、中性脂肪、リン脂質、遊離脂肪酸の4種があり、このうちのどれかが基準値よりも低くなった状態を低脂血症というが、通常は各種コレステロールと中性脂肪の低下が対象になる。問題となるそれぞれの脂質のおおよその基準値は、総コレステロール(T-CHO ; total cholesterol)が130mg/dl(1デシリットル当たり130ミリグラムの意)、中性脂肪(トリグリセライド TG ; triglyceride)が40mg/dl、悪玉コレステロールことLDLコレステロール(LDL-C ; low density lipoprotein cholesterol)が50mg/dl、善玉コレステロールことHDLコレステロール(HDL-C ; high density lipoprotein cholesterol)が35mg/dlとなり、これよりも低い値であると低脂血症と診断される。発症の原因は、原因自体がわからない原発性の場合と、甲状腺機能亢進症、慢性肝炎、肝硬変、栄養不良などがもとで発症する二次性の場合とがあるが、二次性によるものがほとんどを占める。たいていは、特別な治療はなされず、原発性の場合は脂溶性ビタミン剤の補充や必須脂肪酸の補充などが行われ、二次性の場合はそれぞれの原因疾患の治療で対処することになる。
2012年8月4日、浜松医科大学の松崎秀夫特任准教授は、自閉症(autism)の未成年者には低脂血症が多いことを突き止め、研究会で発表。自閉症児174人と健常児180人を調べたところ、自閉症児のほうが血液中の中性脂肪とコレステロール濃度が低く、8歳以下では約8割が低脂血症に該当することがわかった。自閉症の原因解明にもつながる成果となる。