放射線や放射性物質が原子力発電所の敷地外に漏れて、一般の人々に影響を及ぼす「原子力災害」が発生したときに、原子力災害対策特別措置法第15条に基づいて、原子力災害対策本部の長である首相が出す防護対策の指示。急を要する場合は、市町村長も避難などの指示を行うことができる。防護対策には、屋内退避、コンクリート屋内退避、避難などがある。屋内退避とは、家屋内に退避すること。放射線による外部被曝(ひばく)や放射性物質の吸入による内部被曝を減らすことができるとされる。個人住宅での屋内退避では被曝の低減が期待できないと判断された場合は、コンクリート屋内退避の指示が出される。コンクリート建物は、木造家屋より放射線遮へい効果があり、気密性も高いことから、あらかじめ指定されたコンクリート施設への退避を指示するものである。さらに避難しなければ相当の被曝を避けられない場合には、避難指示が出される。2011年3月11日、三陸沖を震源とするマグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)によって、福島第一原発、第二原発で事故が発生。同月23日現在、第一原発から半径20キロ圏からの避難指示と20~30キロ圏での屋内退避指示、第二原発から半径10キロ圏からの避難指示が出ている。福島県原子力安全対策課では、屋内退避の際の注意点として、速やかに屋内に入る、顔と手を洗ってうがいをする、窓やドアを閉める、換気扇・空調を止める、食品容器にはふたをする、など、避難の際の注意点として、上着、帽子、マスクの着用などをあげている。