ヒトの母乳や牛乳、涙などの分泌液、粘膜を覆う粘液に含まれる糖たんぱく質。1939年にスウェーデン人の科学者によって発見された。免疫細胞の賦活、抗菌、抗ウイルス、鎮痛などの作用をもち、出産直後の母親が出す初乳に多く存在して、新生児の健康を保持する働きも判明している。2007年には、メタボリック症候群の共通原因である内臓脂肪を低減させることが、予備摂取テストで確認された。この研究はライオン株式会社研究開発本部が、京都府立医科大学の西野輔翼教授らと共同で実施。小腸に届いてから溶けるよう加工したラクトフェリンを、35~60歳の被験者12人に、1日300mgずつ2カ月間摂取させたところ、内臓脂肪面積や腹囲が改善した。08年には、肥満傾向にある30~62歳の男女26人を対象に、テストの方法や性質、効果などを伏せておく二重盲検法による臨床試験を実施。その結果、無作為にラクトフェリン成分入り錠剤を摂取した被験者のみ内臓脂肪面積、腹囲、体重、BMI(肥満指数)の数値が改善し、脂肪の低減と蓄積抑制の効果が改めて実証された。ただし詳しいメカニズムは未解明。