開発途上国の乳幼児に、予防接種を受けさせる資金の調達を目的とした債券。イギリス政府の主導で2006年に設立された、多国間開発機構IFFIm(International Finance Facility for Immunisation 予防接種のための国際金融ファリシティー)が、世界銀行を財務アドバイザーとして、先進国の投資市場に向けて発行している。返済原資には支援国政府から贈られる寄付金があてられ、3年後を満期に利子や償還金を支払う。この債券の発行により、長期に分散して集まる寄付金を前倒しして運用でき、より多くの子どもたちに、早期のワクチン供給が可能となった。09年3月末時点で、IFFImに寄付を誓約している支援国は、イギリス、フランス、イタリア、スペイン、スウェーデン、ノルウェー、南アフリカ共和国の7カ国。総額は26年までに53億ドルとなる予定。調達した資金は、官民協調団体のGAVアライアンス(旧ワクチン予防接種世界同盟)に提供され、世界で最も貧しい70カ国以上の5歳未満の子どもに、黄熱病、破傷風、B型肝炎、Hib(ヒブ ヘモフィルスインフルエンザ菌b型)等の予防接種が施される。08年3月までにB型肝炎ワクチンを1400万人に、黄熱病およびHibワクチンをそれぞれ400万人に接種した。ワクチン債は、日本でも08年2月に初めて個人投資家向けに販売され、以来、新規販売のたびに話題を集めている。